海外旅行や留学・更には日本で働く外国の方の数も増えたこともあり、国際結婚は当たり前となりました。
しかし、まだまだ様々な問題が山積みです。
結婚するだけでもとにかく様々な書類を用意しなければなりませんし、別れるのも一苦労、
暮らしていくうえでも価値観や食生活の違いは日本人同士以上に顕著です。
日本人でも何かともめることの多い相続問題、
こちらも国際結婚ともなるとよりややこしくなってしまうので覚悟しておくことです。
どこの国の法律に従う?
とはいえ、考え方は単純です。
国際結婚をしたカップルはどの国の法律で相続するかというと取りあえず、
被相続人の国籍のある国の法律に従うものと思っておけばいいわけです。
もしも被相続人がアメリカ国籍の方であればアメリカの法に従って手続きを行うということ、
いまどの国に住んでいるかは関係ありません。
それに相続人の国籍も関係ないのです。
もしも遺産が他の国にあったとしても被相続人の国籍のある国の法に従って手続きを行います。
不動産の相続について
ただし、不動産については例外となるかもしれません。
例えば日本やドイツ・台湾・韓国は相続統一主義を取っており、
すべてを被相続人の国籍のある地でとしているのですが、
アメリカやフランス・イギリス・中国は相続分割主義を取っています。
つまり動産についてはそうでも不動産に関しては所在地法によるといった考え方となるのです。
国際結婚の機会は誰に訪れるか分からず、どの国の人と結婚するかも未知数でしょうが、
結婚する国がどこかで不動産に関する取り扱いが違ってくるので注意しておくことです。
そんな打算をもって国際結婚をする方はほとんどいないはずですが、
ちなみに相続手続きのやり方も国によって実に千差万別です。
国際結婚を考えている方は結婚や離婚の方法について調べるとともに、
もしもに備えて国際相続に詳しい専門知識を持つ方も探しておくと、いざという時に安心です。
遺言書はどうなる?
国際結婚をして生まれ育った日本とは違った地で骨をうずめる、なかなかの覚悟です。
もしかしたら自身が死んだときのためにと遺言書もすでにしたためているかもしれません。
この遺言書をめぐっても相続問題が発生することも全くないわけではありません。
国際結婚の大変さはこんなところにも表れます。
日本国籍を持つ被相続人、その方が海外で遺言書を書いたという場合はどうなるのでしょう。
想いがきちんと伝わらなければ意味が無いからと外国の方式に乗っ取って作成している場合もあります。
遺言書もまた、基本的には遺言者の国籍のある国の法に従って手続きを行うこととなります。
つまり海外で書いていようと日本で書こうとも手続きをする上で影響を及ぼすようなことはないのです。
一応は民法と照らし合わせて方式などがきちんと揃っていれば有効、
ただし遺言書の作成が行われた場所・あるいは遺言者の国籍のある地の法律であったり、
不動産のある場所の法律に適合しているのであればその国では有効となったりするわけです。
国によって遺言書の有効無効も決まる、さすがは国際結婚です。
もしも日本に在住の方が居住している日本にてアメリカ式の遺言を残したとしても、その逆でも有効です。
印鑑の有無などいろいろと違いがあるため専門家に聞きながら作成するのが一番なのです。
国際結婚こそ、法に明るい専門家との繋がりは必要な場面が多くなります。
まとめ
相続税についてもさまざま、
またプロベート(裁判所の管理の元に行われる海外財産の遺産相続や分割の法律手続き)
にも注意が必要となりますし、相続人の一部が海外にいるなんて状況もあります。
情熱で結ばれた二人、結婚して幸せな生活をし、
やがてどちらかが亡くなった後はいきなり現実的な作業が多数待っているというわけです。
もちろん、そうやって専門知識を持つ行政書士などとあれこれ頑張っていれば
悲しみを紛らせることができて良いのですが、争いの種とならないようにすることです。