「相続」という言葉はよく耳にする言葉ですが、正確な意味までは分からない、という方もいらっしゃるでしょう。
また、遺産相続には相続問題がつきまといますので事前になるべくトラブルが起こらないようにしておくことも大切です。
この記事では相続の意味と相続で起こりやすい相続問題について解説します。
◼︎相続の意味
相続とは亡くなった人(被相続人)の遺産(権利・義務)を引き継ぐことです。
法律で言うところの相続とは、被相続人の死により、被相続人の権利義務を相続人が包括的に継承することを意味します。
相続では権利だけでなく、義務も引き継ぐことになりますので、
預金や不動産などのプラスの財産だけでなく、負債などマイナスの資産も相続の対象となります。
「包括的に継承」とは、すべての権利義務を受け継ぐということです。
つまり、プラスの財産は引き継ぐが、マイナスの財産は引き継がない、ということはできません。
マイナスの財産を引き継ぎたくない場合は相続放棄で解決できますが、プラスの財産も放棄することになります。
相続では、被相続人は遺言書を作成することで財産の分け方を指定することができます。
遺言書がない場合には相続人が遺産分割協議を行い遺産の分け方を決めます。
相続人に相続手続きの手間を取らせないためには遺言書を作成しておいた方が良いでしょう。
また、以下でご紹介する相続問題を回避するためにも遺言書は作成した方が安心です。
◼︎起こりやすい相続問題のパターン
相続ではさまざまなトラブルが発生する可能性があります。
相続問題になりやすいのは一般的に大きく3つのパターンがあります。
*相続人間で遺産の分割方法で対立が起こる
遺産分割では、どんなに仲の良い家族、兄弟姉妹であっても起こり得るもので、相続財産の額に関わらず発生しています。
特に5,000万円以下の資産規模が相続トラブルの大半であることが分かっており、
遺産争いは資産家だけの問題ではないことを物語っています。
中でもトラブルが起こりやすいのが不動産相続です。
不動産は評価方法が複雑な上、1円単位で分割しにくい財産ですので、相続人間で分割方法で揉めやすいと言われています。
不動産相続の場合は、不動産を相続したい人が複数おり揉めるケースだけでなく、
遠方の空き家や山、土地など、相続人の誰も相続したくない不動産があって揉めるケースがあります。
*相続税の支払いが負担になってしまう
相続財産を引き継いだ際、財産額が一定以上の場合は相続税の支払い義務が発生します。
相続税の納税は原則として現金で納める必要があるため、相続人にとって大きな負担となってしまうことがあります。
特に相続財産に預金などの現金が少ない場合にはあらかじめ相続税がどれくらいかかりそうか計算し、
現金を用意しておく必要があります。
*納税時に現金化できる財産が少なく資金難となる
相続時に財産と呼べるものが自宅しかないということはよくあるケースですが、
この場合、納税資金、登記費用をどのように準備するかが問題となります。
しかも、相続税の納付期限は相続開始を知った日の翌日から10ヵ月以内となりますので、
不動産を売って現金化するには期間が短く、また、希望価格で売却できるとは限りません。
そのため、相続税支払いのために預金を崩して工面するしかない、という事態に陥りがちです。
◼︎相続トラブルを避けるためには専門家に事前にアドバイスを受ける
相続トラブルを避けるためには生前に財産の分け方を家族で相談しておく、
不要な不動産は整理しておく、遺言書を作成して財産の分け方を指定しておくと良いでしょう。
遺言書の書き方や、相続人間で争いが起こらないような財産の分け方については
行政書士などの専門家のサポートやアドバイスをもらっておくと安心です。
死後に残された家族が無用な争いをしないよう、また、相続手続きがスムーズに行えるよう、
専門家の力を借りながら準備・対策を行っておくことが大切です。